4月7日、東京など7都道府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」が発令されました。宣言の効力は5月6日までの約1か月で、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡が対象となります。
愛知県、京都府・京都市は、「緊急事態宣言」の対象地域に、愛知県、京都府・京都市も含まれるよう要請をし、国が検討している状況です。
4月16日、宣言の対象の7都府県に北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6つの道府県を加えたあわせて13都道府県について、特に重点的に感染拡大防止の取り組みを進めていく必要があるとして、「特定警戒都道府県」と位置づけ、「緊急事態宣言」対象地域を全国に拡大することを正式に決めました。
そもそも「緊急事態宣言」とは何なのでしょうか?簡単にまとめてみました。
2012年5月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が公布され、新型インフルエンザなど、国民の大部分が免疫を獲得していない感染症が発生した場合、緊急の措置を講ずるために「緊急事態」を宣言することができるようになりました。
特別措置法は2020年3月13日に改正され、今回の新型コロナウイルスにも適用されることとなり、さらなる感染拡大に備え総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、都道府県知事が外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を行うことが可能になったのです。
(以下、法律で定められた内容)
*外出自粛*
都道府県知事は、住民に対して、期間と地域を定めた上で不要不急の外出を自粛するよう「要請」できます。
ただし、
▽医療機関への通院
▽食料の買い出し
▽職場への通勤など
生活の維持に必要な場合は除くとされています。
外出の自粛はあくまでも「要請」で強制力はありませんが、国民は対策に協力する努力義務があります。
*学校の休校*
都道府県知事は感染拡大を防ぐために必要とされる場合は、学校の休校を「要請」できるようになります。
学校の休校についても、特措法の45条2項が根拠となり、休校を「要請」または「指示」できるようになります。
県立高校は県が所管しているので知事の判断で休校できます。私立学校や市町村立の小中学校は、知事が休校を「要請」し、応じない場合には「指示」できるという建て付けになっていますが、罰則はありません。
*施設や店舗*
都道府県知事は感染拡大を防ぐために必要とされる場合は、施設の使用制限も「要請」できるようになります。
店舗の営業についても、特措法の45条2項で「多数の者が利用する施設」は使用制限や停止を「要請」できるとなっていて、「多数の者が利用する施設」は政令で定められています。
対象となるのは、
▽映画館・劇場
▽集会場や展示場
▽百貨店、スーパーマーケット
▽ホテルや旅館
▽体育館、プールなどの運動施設
▽博物館や図書館
▽ナイトクラブ
▽自動車教習所や学習塾
などの、建物の床面積1000平方メートルを超える施設で、これに満たない施設でも特に必要と判断された場合は対象となります。
スーパーマーケットのうち食品、医薬品、衛生用品など生活必需品の売り場だけは営業を続けることができます。
「要請」に従わない施設などに対して、都道府県知事は「指示」を行えるようになります。
知事は指示を行った施設名をホームページなどに「公表」することになります。この「公表」は罰則的な意味ではなく、施設が閉鎖していることを周知し生活の混乱を防ぐことが目的とされています。
*イベント*
イベントについては、特措法の45条2項に基づき、イベントを開催しないよう知事がまず「要請」して、それでも応じない場合は「指示」できます。
指示には罰則はないものの、公権力を背景とした指示は、事実上の強制力を持つと考えられます。
さらに「指示」を行ったら、事業者名などを知事がホームページなどに「公表」することになります。
*ライフライン*
ライフラインは「緊急事態宣言」が出されても止まることはありません。電気、ガス、水道については、事業者に対して安定的に供給するための措置を実施することが求められています。
また、運送や電話・インターネット、それに郵便についても事業者が適切に実施するよう求められています。
鉄道やバスなどの公共交通機関についても法律に基づいて止めることは想定されておらず、むしろ逆に、総理大臣や知事が最低限は交通機関を動かすよう調整を行うことができるとされています。
*強制的にできること*
「緊急事態宣言」が出たときに、行政が強制的に出来ることは、
▼都道府県知事が、臨時の医療施設をつくるために必要がある場合に、土地や建物を所有者の同意を得ないで、使用できることと、
▼知事が医薬品や食品など必要な物資の保管
を命じることです。
また、運送や電話・インターネット、それに郵便についても事業者が適切に実施するよう求められています。
鉄道やバスなどの公共交通機関についても法律に基づいて止めることは想定されておらず、むしろ逆に、総理大臣や知事が最低限は交通機関を動かすよう調整を行うことができるとされています。
また、マスクについては、特措法の55条でマスクなど必要な物資の売り渡しの要請ができるほか、応じないときには、知事が強制的に収用できるようになります。
また、特措法とは別に、すでに政府は、国民生活安定緊急措置法などに基づいて、マスクを買い上げるなどして、北海道や医療機関などに配っています。
命令に従わず物資を隠したり、廃棄したりした場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。保管場所の立ち入り検査を拒否した場合も、30万円以下の罰金となります。罰則があるのはこの2つだけです。
緊急事態宣言は強制力のある措置は限られ、海外のような「ロックダウン」=「都市封鎖」ではありませんが、多くの国民や企業が協力するのではないかとみられています。
※参考
NHK特設サイト新型コロナウイルス